『夢の刻』

               written by 古酒
 君が夢ここに墜ち 冷たき風が吹き抜ける

 互いに互いを求め会う刻 二人に言葉はあったのかしら

 君は佇む 満たされぬなにかを求めて

 逢瀬を重ねるも 言葉は重ならなかったあの時

 風が躰にまとわりつき なにかを訴えまた離れていく

 私の気持ちはあの人に届いていたの あの人の心を私は捕らえていたの

 風がまた君の涙をさらっていった 君はいつまでそうしているつもりか

 いつしか私たちはお互いを必要としなくなったのかもしれない

 時が流れ 君の心が満たされるとき 君は何を求めるのか

 夢の刻はここに墜ち 私は一人ここにいる

 夢に言葉はいらない 愛に言葉はいらない そんなことを言う人もいるだろう

 もっと もっと言葉にすればよかった そんな思いが私の頭をよぎる

 言葉にしなければ伝わらない思いもある そう言って君に手を差し出した

 ふと見ると あなたの手がそこにある


 今ここで言葉にする事は出来ないこと でもいつか いつか必ず……


                了

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