An Episode in The Known Worlds' Saga ---《 The Soldier 》 外伝


光の真名
ひかりのまな

第1章 『闇の目覚め』

… B-Part …



 花曇り…とでも言うのだろうか。八十八学園の始業式当日は、曇り空で、始まった。

 龍之介が、教室から空を見上げながら、独り言のように呟く。

「降るかな」
「大丈夫だよ、唯、傘持ってきたから」
「誰が唯と相合傘で帰るかよ」
「………」

 何か言いたそうな唯だったが、顔を俯かせて、黙って自分の席に座る。

「よう! 龍之介!」
「お、あきらか」
「見たか、クラス発表の掲示板」
「見たからここにいるんだろ」
「違うよ。可憐ちゃん、また同じクラスだぜ」
「そうか?」
「そうか?って……それだけか?」
「まあ、可愛い女の子が、クラスにいてくれるのは、大歓迎だな」
「おい、わかってんのか? 可憐ちゃんだぜ」
「可憐ちゃんだろ?」
「『あの』可憐ちゃんだぜ」
「あきらは、TVが命だからな。思い入れがあるだけだろ」
「俺だけなもんかよ」

 そう言われると、確かに、3−Bの教室は、他の教室にも増してざわついていた。

「そんなに珍しいかねえ?」
「変な奴だよな、お前。あんなにナンパに血道を上げてるくせに、アイドルには、爪の先程も興味がないなんてよ」
「興味がないわけじゃないさ。可愛い女の子は大好きだぜ」
「お前にかかったら、可憐ちゃんも、ただの可愛い女の子か」

 あきらが、ため息をつくように話す。突然、窓際に固まっていた男子生徒が、騒ぎ出した。

「来た! 可憐ちゃんだ!」
「どこだ、どこだ?」
「ほら、校門!」

 そんな男子の動向などどこ吹く風と、いずみと友美は、お喋りをしている。

「またいっしょのクラスだな」
「ふふ。ここまで来たら、腐れ縁かしら」
「そうじゃなくて、唯と可憐だよ」
「え?」
「私たちは、幼稚園からのつきあいだけど、唯にしても、可憐にしても、八十八に引っ越してきてから、ずっと一緒だろ」
「そう言えば、そうね」
「何やら因縁めいてるな」
「この間のこと、気にしてるの?」
「友美は気にならないのか? あれは、私たちだけに起こったんだぜ。他にも、同じようにコンピュータを見てた奴はいたのに、私たちだけが、あれを経験したんだぜ」
「それはそうね……」
「絶対、何か関係あるよ」
「ねえ」
「なに?」
「この間から、何か思い出しそうで、喉元まで出掛かってるんだけど、いずみちゃん、そういうことない?」
「友美も?」
「やっぱり?」
「ああ。なんか、苛々するんだよな。こう、ここまで来てるのに、何かが邪魔して、思い出せないんだ」
「………」
「なあ、唯」

 不意に声をかけられ、唯は体をびくっと震わせて、いずみを見た。

「な、なに?」
「ちょっと、こっち来いよ」
「う、うん……」
「?」

 唯の様子がどことなくおかしい。いずみと友美は顔を見合わせた。

「どうしたの?」
「唯……どうかしたのか?」
「う、ううん……何でもないよ……」
「何だよ。言ってみろよ」
「………」
「唯ちゃん、絶対内緒にしとくから。ね」
「……唯の気のせいだと思うんだけど……」
「うんうん」
「おにい……龍之介君に何か起きそうな予感がするの」
「龍之介に?」
「うん……それも、良くない事が……」
「ねえ、唯ちゃん、それって、もしかして……」
「あの、真っ暗な中で私たちと会ってからか?」

 唯は、大きい目を、更に大きく見開いて、いずみと友美を見た。

「じゃあ……やっぱり、あれって夢じゃなかったんだ」
「そうだよ。私も友美も憶えてるからな」
「ねえ、唯ちゃんも、何か思い出しそうな気がしない?」
「友美ちゃんも?」
「ええ」
「何だかね、それが、龍之介君のことと関係がありそうなんだけど……もう少しで思い出せそうなんだけど、あとちょっとというとこで、何か邪魔してるような感じなの」
「やっぱり、唯もか……」
「一体、何なのかしら」
「ねえ、あの時、可憐ちゃんもいたよね」
「ああ」
「可憐ちゃんは、どうなのかなあ」

 その時、クラスの男子生徒の視線が、約1名を除いて、一斉に教室の入り口に注がれる。可憐が入ってきたのだ。しばらく入り口に佇んで、きょろきょろしてた可憐だが、いずみたちを見つけると、まっすぐに近づいてきた。

「おはよう」
「おはよう」

 お互いに挨拶を交わす4人。どこか、可憐の様子がぎこちない。友美は、いずみに目配せすると、可憐に話し掛けた。

「可憐ちゃん、ちょっと話があるんだけど、後で、屋上に来られない?」
「後って……いつ?」
「式が終わった後」
「2時に迎えが来る事になってるから、それまでなら大丈夫だけど……」
「じゃあ、お願い」
「ええ」

 その時、教室の扉が再び開いて、入ってくる人物があった。

「片桐先生! また1年宜しく!」

 龍之介が間髪を入れず、声を上げる。

「ふふ。よろしくね。さて、それじゃあ、始業式が始まるから、皆、講堂に行ってね。自己紹介とかは、その後」
「あぁあ。また園長の退屈な話を聞くのか」
「龍之介君、何なら、君一人だけで、園長室で独演会をやって頂いてもいいのよ」
「ああ、ひでえなあ」
「じゃ、文句を言わずに、早く行って頂戴」
「へいへい」
「ほらほら、他の皆も早くね」

 いずみと友美、唯、可憐の4人は、目配せしあってから、黙って教室を出ていった。その後ろ姿を、西御寺や洋子が、冷ややかに見ていた事に気づかず。




「あなたたちも?」

 式の後、教室で自己紹介がすんだ後、4人は屋上に集まった。友美が、事情を説明すると、可憐は、驚いたように声を上げた。

「じゃあ、可憐も感じてるのか」
「うん……とても気のせいだとは、思えなくて……ねえ、3人とも、何か心当たりはないかな?」
「唯ちゃんは、何か良くない事が起こりそうだって言ってるけど……」
「どんな感じ?」
「よくわかんないの……何となく、暗いっていうか、嫌な感じがするっていうだけなんだけど……」
「同じ……ね……」

 顔を曇らせて、可憐が呟く。

「それとね……」

 可憐は、『仁科 くるみ』と名乗る女性と、テレビ局で出会った時のことを話した。

「そういえば……」
「どうしたんだ、友美?」
「ほら、私が図書室で本を読んでたとき、長岡君が、やっぱり、訳のわからないことを言いに来たことがあったでしょ」
「そういや、そんなこともあったな。洋子が私の様子を見に来たこともあったし」
「それなら、唯の家にも西御寺君が来た事がある」
「西御寺が?」
「なんだか、緒黒先輩のことを聞いて帰ったけど」
「そういや、今日はあの3人、様子がおかしかったよな」
「そうね。西御寺君なんか、毎朝、必ず唯ちゃんに話し掛けてたのに、今日は無視してたし」
「そういうわけではありませんよ」

 4人は、背中に悪感を感じて、昇降口の方を見た。

「これはこれは、驚かせたようですみません」

 張り付いたような微笑みを浮かべながら、西御寺がゆっくりと近づいてくる。

「何の用だ?」

 いずみが、あからさまに西御寺を睨み付けながら言った。

「大した用ではありません」

 西御寺が両手を胸の前にかざす。不吉な予感が、4人の胸に走った。

「この世から、消えて頂くだけですよ」

 刹那、西御寺の両手に闇が集まり、エネルギー球となって、4人に放たれた。

「何を!……」

 いずみが何か言おうとしたその時、凄まじい爆発が4人を襲う。

「きゃああああ!!」

 唯と可憐が悲鳴を上げる。

「友美!?」

 いずみは、爆風を腕で遮りながら、先程まで親友のいたところを、振り返って見た。だが、友美の姿はなく、爆発で、大きく抉られたコンクリートの床だけが見えた。

「友美!」
「これはこれは。いかに覚醒してないとはいえ、他愛ない」
「西御寺! 手前!」
「おっと、次はあなたですか、いずみさん」

 西御寺の顔に、冷たい微笑が浮かぶ。いずみの顔が、ひくひくとひきつっている。

「何をした!?」
「見た通りですよ」
「この……人殺しめ……」
「あの方の目的には、あなたがたが、邪魔ですからね」
「何!?」

 私たちが邪魔? 一体、私たちが何をしたんだ?

「ダイナマイトかなんか知らないが、お坊ちゃまが、そんな物騒なもの、持ち歩くもんじゃねえよ!」
「そんな低級なシロモノに見えましたか。私も腕が鈍りましたかね」

 冷たい笑いを浮かべる西御寺の両手に、再び闇が集まる。ぱちぱちと、真っ黒な閃光が放たれている。唯と可憐は、抱き合って、がたがた震えている。余りの恐ろしさに言葉を失っているようだ。

「では、さようなら、いずみさん」
「そこまでだ」

 静かではあるが、力に満ちた声が、宙から降ってきた。西御寺を含めた全員が、空を見上げる。

「お前か……」
「迂闊だったよ。君たちの方が、覚醒が早かったとはね」
「ふん。お前も一緒に消し飛ばしてくれる」
「ほほう、忘れたのか。2000年前、何があったのか」
「く……」
「今日のところは、諦めてもらおうか」
「………」
「聞こえなかったのか? ダハーカ!」
「くそっ!」

 ついっと、掻き消すように西御寺の姿は消えた。声の主は、ゆっくりと屋上に降り立ち、抱きかかえていた友美を、そっと降ろした。

「緒黒……先輩?」
「やあ、唯ちゃん。怪我はないかい?」
「友美! 友美!」
「大丈夫、気を失ってるだけだよ」

 淳は、いずみに優しく声をかけた。

「一体……一体……何があったの? あなたは、どこから現れたの?」
「空から見てたんだよ」
「空から!?」

 可憐が、一瞬、呆気にとられた顔をし、すぐに怒りに満ちた表情を見せた。

「ふざけないで!」
「見てただろ?」
「何かのトリックでしょ!」
「そう思うなら、それでいいよ。どっちにしろ、空から見てたにのは、変わりないんだからね」
「………」

 確かにそうだ。3人とも、淳が空から降りてきたところをしっかりと見ている。

「緒黒先輩」
「何だい?」
「さっきのは、何だったんですか? 西御寺君は、どうしちゃったんですか!?」
「唯ちゃん」
「はい」
「彼はもう、君たちの知っている、西御寺 有朋ではない」
「それってどういう……」
「もうすぐわかる。一人ずつ順番にね」
「どういうことなんだ、先輩?」

 淳は、いずみを優しい目で見つめて言った。

「君たちの抱えていた不安が、現実のものになりつつあると言ってもいいかな」
「どうしてそれを……?」
「説明は、もう少し待ってくれ。まだやらなくちゃいけないことがあるんでね」
「こんな目に遭ったってのに、何も教えてくれないのか?!」
「そんなには待たせないよ」
「あの……もう大丈夫なんですか?」
「君は……舞島 可憐さんだね」
「はい」
「今のところは大丈夫だよ。私が介入してきたことに、向こうも気づいたからね」
「向こうって……」
「すまん、もう少しだけ待ってくれないか。まだ準備が整ってない……」
「唯!」

 突然の声に、3人とも振り返る。昇降口から龍之介が現れた。

「お兄ちゃん!」
「何があったんだ! すごい爆発音がしたんだぞ!」
「お兄ちゃん……」

 ほっとしたのか、唯がべそをかいた顔で、龍之介を見た。

「どうした!?」
「友美ちゃんが……友美ちゃんが……」
「友美がどうかしたのか?!」
「だ、大丈夫よ……心配……しないで」
「友美ちゃん!」
「友美!」
「大丈夫……」
「怪我はないか?」
「ええ。それより、一体何が……」
「緒黒先輩が助けてくれたんだよ。ね、先輩……」

 だが、唯の振り向いたところに、淳の姿はなかった。

「あれ?……」
「唯、大丈夫か? お前、頭でも打ったんじゃないのか」

 龍之介が心配そうに、唯を見つめる。

「そんな、さっきまでそこにいたのに……」
「俺が来たときは、お前たち以外、誰もいなかったぜ」
「鳴沢さん」
「可憐ちゃん……」

 可憐は、わずかに首を振って、それ以上唯が何か言おうとするのを止めた。

「くそぉ、あの野郎……おい、龍之介」
「なんだ、いずみ?」
「西御寺を見なかったか?」
「いや……式が終わった後、迎えの車が来て、すぐに帰ったようだったがな」
「何だって?」

 じゃあ、どうやってあいつは、ここに来たんだ? 他の3人も同じ考えだと見えた。いきなり現れ、いきなり去っていった彼が、ずっと前に車で帰った?

 もはや、4人には、何が何やら訳がわからなかった。まるで悪夢だ。可憐は、ぼんやりとそう思った。そう、確かに悪夢だった。だが、それがまだほんの始まりに過ぎないということに、4人は気づいてなかった。




 それより少し前。先負学園でも、始業式が行われていた。学長の退屈な話をそっちのけで、REMは、昨晩のことを考えていた。

 あいつは、確かにわいのことを、『エミュイエル』と呼んだ。聞いた事もない名前のはずやのに、妙に懐かしい。なんでや?

 彼は、何かヒントはないかと、能力が覚醒した日の事を思い出しはじめた。




 夕食後、自分の部屋で、いつものように、CDを聞きながら、雑誌をめくっていた彼は、不図、誰かに呼ばれたような気がした。

「誰や?」

 返事はない。空耳か、と思ったとき、またその声が聞こえた。ごく微かだが、間違いなく自分を呼んでいる。

『時が迫っています……目覚めなさい……光の使徒よ……』
「誰や?!」

 再び彼は聞いた。返事はない。

『力を取り戻すのです……早く……危機が迫っています……』
「桜子ちゃん……桜子ちゃんやな!」

 慌てて窓を開けるが、もちろん、闇に沈んだ街が見えるだけで、桜子がいるはずもない。

『早く……力を……』
「どこや! どこにおるんや!」
『解放して……』
「桜子………うあ!」

 突然、光が彼を包み込んだ。どんどん光が集まり、やがて、目を開けていることすらできなくなるほどになった。

「な、なんだ………!」

 彼の周りを、光が取り囲んでいる。目の前が、光で真っ白に染まったその時、閃光が彼を貫き、REMは能力を悟った。《光》と《闇》のものだけが持つ、特殊な能力が自分にもあることを。

「これは……?」

 気が付くと、光は消えており、いつもの部屋が見えた。あの声も、聞こえなかった。REMは、一体、何が起きたのか、なぜ自分にそんな力があるのか、見当も付かず、ただ呆然としていた。




 そしらたら、急に不安が湧いてきたんや。何かが起こる。桜子ちゃんに何か良くない事が起こるってな。あれほど夜が長く感じた事はなかった。それで、病院の面会時間になるのを待って、飛ぶように会いに行ったんや。

「それで、あいつと会うたんやったな」

 今でも、なんで自分にそんな能力があるのかは、わからん。けど、この力を使うて、桜子ちゃんを守らなあかんのや、ということだけは、何となくわかった。でも、あいつが言うた、エミュイエルという名前には、やっぱり覚えがない。

「REM君?」

 それにしても、なんであいつは、わいのことを知ってたんや。

「REM君ってば」

 敵には思えん。そやけど、味方でもなさそうな匂いがした。

「REM!」
「はい!」

 彼は吃驚して、席を立った。慌てて周りを見ると、他の生徒達がぞろぞろと講堂を出ていくところだった。

「え……始業式、終わったんか」
「変なREM君」
「きょ、京子ちゃん!?」
「さっきから、ぼうっとして、どうしたのよ!」
「いや、何でもないねん」
「本当〜? 女の子のことでも、考えてたんじゃない?」
「そんなことはあらへん! ボクが考えるとしたら、京子ちゃんのことだけや!」
「馬鹿!……」

 京子と呼ばれた少女は、顔を真っ赤にして、REMを睨み付けた。

「もう皆、教室に行ってるんだから! 急いでよ!」
「う、うん」

 わいらしゅう、ないなぁ。REMは、頭を掻いて、京子の後についていった。




 八十八町の外れ。今日引っ越してきたばかりの家があった。表札には「都築」と出ている。

「よいしょっと。やれやれ。これで、当座の生活には充分かな」
「ふう。どの道具も原始的だし、予想してた以上に、ここは辺境ね」
「まあね。まあ、住めば都っていうから、君を覚悟を決めるんだね」
「ま。仕事ですからね。ジャングルでだって任務を果たしてみせるわよ」
「ははは。そう願うよ。あ、コズエ君」
「はい」

 それまで、荷物に埋もれていたコズエに、年配の男は声をかけた。

「ちょっと休憩にしよう。一日じゃあ、とてもじゃないけど、片付かないよ」
「はい。じゃあ、お茶でもいれますね」
「頼むよ」

 台所にパタパタと駆けていくコズエを見ながら、彼は呟いた。

「意外とこの世界の衣装が似合うね、彼女」
「そうね。可愛らしいわ」
「子供のお土産に、持ってかえってやるかい?」
「ふふ。いいかもね」
「いくつなの?」
「17ね。シニアステップのセカンドグレードよ」
「ほう。ゆくゆくは君と同じ工作員かい?」
「どうかしら。あの子はそのつもりみたいだけど」

 その時、台所の方からコズエの悲鳴に混じって、ポンと何かが破裂するような音がした。

「どうしたの?」

 女性の方が声をかけるが返事がない。二人は顔を見合わせた。

「すみませ〜ん……」

 少しして、コズエの情けない声がする。やれやれと言った顔で、男性の方が台所へ向かった。ガスレンジの前で、コズエが、オタオタしている。

「どうしたんだい?」
「どうやってお湯を沸かすか、忘れちゃったんで、あちこちいじってたら、いきなりポンって音がして……」

 続きは聞かなくても、何があったか一目瞭然だった。コズエの服が焦げている。ガスを出しすぎたのだろう。

「これはね、こうするんだよ」

 薬缶に水が入っているのを確かめた彼は、レンジのスイッチをひねって火をつけた。

「ここのところで、炎がちゃんと出たのを確かめてから、手を離さないと、ガスが出たままになるからね」
「はい……」

 しゅんとして立っているコズエを元気づけようと、彼は声を励まして言った。

「仕方ないよ。ここは、何もかも原始的だからね。すぐに慣れるさ」
「すみません」
「はっはっは。これくらいのこと、気にしない、気にしない」

 その時、居間から声がした。

「そろそろ、定時連絡の時間よ」
「わかった。お茶はその後だな。さ、行くよ、コズエ君」
「はい」

 彼は、レンジの火を消すと、コズエを促して、台所から出た。





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